KAWAI アップライトピアノ KU5B 1970年製



H19年11月 川崎市K様
ご依頼ありがとうございました。

ご実家(埼玉県久喜市)に伺いピアノを拝見したところ、ウールを喰う虫とねずみが入ってしまっていました。修理明細内の写真を見てもわかるように無残な状態でしたが、フレームや弦、アクションレールといったところは金属製の為、全く問題ありませんでした。しかし修復には多数の部品交換が必要となり、修理見積額もそれなりに高くなってしまいました。それでも、お客様の「自分が子供の時に親に買ってもらったピアノを是非復活させたい」というお気持ちが強く、修理をご依頼いただきました。



修理明細
調律 保管中2〜3回、お届け後1回
アクション部分 ハンマーヘッド(レンナー社製)、ハンマーバット、シャンク、ダンパーヘッド交換、ウィペンセンターピン交換
鍵盤部分 バランス、フロント キーブッシングクロス全貼替、
フロント、バランス バンチングクロス全交換
バックレールクロス貼替
整調 約12時間
弦、チューニングピン   クリーニング 
 外装関係  クリーニング、屋根蝶番交換
 その他 木工修理(突上げ棒製作、鍵盤補修)
内部、背面掃除サービス
 運送料 引取時   埼玉県久喜市1階→当工房
納品時   当工房→川崎市 エレベータ3階
\42,000-
 修理代 \372,750-
作業写真


虫に喰われたハンマーヘッドです。



フロントキーブッシングクロスの虫に喰われたところです。
  バックレールクロスも喰われています。
  フロントパンチングクロスです。同じく虫喰い。
  ダンパーフェルトです。これも虫喰い。
 

ねずみの巣?のようです。 
 

鍵盤がねずみにかじられていて、このまま弾くと折れそうです。 
  フロントキーピンという白鍵手前の下側にささっている部品です。サビがひどい為、一度抜き取って、磨いて刺し直しました。同サイズのものが入手できませんでした。
  こちらはバランスピンです。鍵盤のシーソーとなる中心部分になる所です。こちらは新しいピンと入替えました。 
  白鍵上面も汚れとキズが多く入っていましたが、これはバフモーターによる2時間程の磨き作業できれいになりました。




 
チューニングピンや弦も汚れてしまっていたので、クリーニングしました。
  アクションのセンターレールで、部品をはずしたところです。もう一度使用する部分もありますが、周動不良、スプリング類の破損がないか確認の為全てはずします。
 

新しいハンマーヘッドにシャンク-(棒状の木)を植えて(接着)しているところです。
  新しいダンパーヘッドの接着をしているところです。
  ハンマーの取付け(接着が終わったところです。
  キーフレーム関係も新しいクロスを貼替えてきれいになりました。
  鍵盤の修理です。松材を12mm幅にバンドソーで引き(切り)、後ろ側半分を付け替えました。10gの鉛も元々の位置に入れます。 
  全て組み上がりましたが、この後、整調、調律、整音と2日かがりとなりまして、無事内部の修理は終わりです。
 





外装のバフモーターによる磨き作業です。はずせるパーツははずして、きれいにします。 
一ヶ月以上のお預かり修理でしたが、ピアノのグレードが元々良いこともあり、音、タッチ、外装ともに回復しまた。