鍵盤の修理、代表例



こちらはピアノの鍵盤でおこる、
よくある修理になります。


・鍵盤ブッシングクロスの虫喰い修理
・鍵盤バランスピン交換修理
・鍵盤下クロス類の虫喰い修理
・白鍵木口部分の貼替修理
・象牙鍵盤の漂白作業
などです。



鍵盤ブッシングクロスの虫喰い修理
修理前 修理中
修理後
現在又は先々想定されるトラブル
鍵盤の左右のガタつきが異常に多くなり、悪化すると隣同士当たるようになってしまいます。
修理の目安
虫喰い全般に言える事ですが、部品の跡形もなく喰っている場合と端の方を少々喰っている場合とあり、部品本来の機能を果たしているかどうかにより修理範囲を決めます。
修理方法
虫の喰われたクロスを蒸気で剥がし、新しいクロスをにかわで貼付します。
効能と効果
指先に感じるガタつきによる違和感がなくなります。

鍵盤バランスピン交換修理(サビによる場合)
修理前 修理中
修理後
●現在又は先々想定されるトラブル
悪化するとサビが鍵盤に食い込み始め、上下運動の妨げとなり下がりにくい又は上がらないといった事になります。
修理の目安
目立つサビのピンがあればすぐに交換します。
修理方法
サビを落とす方法もありますが、新しいピンとの差し替えの方が簡単で早いのでそうしています。
効能と効果
鍵盤の動きが元々の状態に戻ります。

鍵盤下クロス類の虫喰い修理
修理前 修理中
修理後
現在又は先々想定されるトラブル
虫喰いが進むと各々の鍵盤のストローク(上下運動量)が変わり始め、発音自体はするものの、とても普通に弾ける状態ではなくなります。
修理の目安
鍵盤の上下運動量に影響が及んでいる場合。
修理方法
ピアノによってウールと化学繊維の物があり、喰うのは当然ウールの方だけです。
部品、その他の交換及び貼替自体は簡単ですが、それに伴い鍵盤の高さと深さの揃え直し(業界用語ではならし、あがきといいます)が必要となり、この作業時間の方が多くかかります。
効能と効果
部品交換の後の調整がされていればの話ですが、各々の鍵盤の上下運動が均一になる為タッチ感覚が揃います。

白鍵木口部分の貼替修理
修理前 修理前
修理中 修理中
修理後
●現在又は先々想定されるトラブル
めくれてきて手前の木の部分(口棒という名称です)と接触して鍵盤が上がらなくなる事もあります。
修理の目安
変色だけなら気にするかしないかという事だと思いますが、剥がれ始めていれば全貼替です。
修理方法
単純に剥がして貼付をし、木の部分に合わせてベルトサンダーで整形して終わりです。
効能と効果
見た目が美しくなります。

象牙鍵盤の漂白作業
●現在又は先々想定されるトラブル
変色その物は見た目の問題の為、音やタッチには影響はありません。
修理の目安
気にするかしないかです。外装(ピアノ本体)の塗装やクリーニングと同時に依頼を受ける事がよく有ります。
修理方法
薬品を鍵盤につけて日光又は紫外線ライトを充てます。
効能と効果
白くなりツヤも回復する為、ピアノが新しくなった様な印象になります。


 変色した象牙鍵盤です。
 過酸化水素水と言う、白鍵に塗布する薬品です。


 白鍵上面に半紙又は障子紙などをのせてその上から薬品を塗って(染み込ませて)、直接日光に充て時間を置き白くなるのを待ちます。
 こちらは直射日光ではなく屋内で紫外線ライトに充てている所です。梅雨時などはこちらの方法で行なっています。
 漂白の後、薬品が残らない様よくふきとりします。


 バフモーターで表面を軽く研磨して、ツヤを出している所です。


 作業完了です。