KAWAI アップライトピアノ KL32BG



H18年7月 埼玉県坂戸市S様
修理ご依頼ありがとうございました。

カワイ製のピアノをお持ちのお客様で、ヤマハ製のサイレントアンサンブルキット(消音装置付自動演奏機)を取付けできないか、との相談を受けました。過去の取付例となぜ取付が可能なのか、またその為にはどの部分の製作や加工が必要か、という話をしたところ、ご理解いただき、取付ることになりました。



修理明細
 調律  お届け後1回
 その他 内部加工及びパーツ製作
 料金 サイレントアンサンブルユニット本体及び基本取付料  \462,000-
加工、製作費  \63,000-
調律代  \10,500-
運送料   \46,200-
作業写真





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鍵盤の下にサイレントセンサーと自動演奏の為の装置を取付けます。
 これが自動演奏装置その物で、キーソレノイドという、鍵盤を下から押し上げる人間の指の役目をする部分(黒と白のボッチの部分)ですが、鍵盤数と同じく88箇所あります。鍵盤はシーソー状に動いていて、真ん中より奥側を上げれば手前側は下がるようにできています。写真はカバーをはずしたところです。

このソレノイドの並ぶ間隔がヤマハ製のピアノ用につくられているため、お客様のカワイのピアノ用に変更します。 


要するに、この金属製のケースがソレノイド(指)の位置を決めているため、ピアノに合わせて作ってしまえば、どのメーカーの物にも取付可能ということになります。





センサー取付けの為、キーフレームをバンドソーでカットしているところです。
写真のように、鍵盤の真ん中から奥側は左に曲がっています。高音部の方は右曲がりです。この曲がり具合がメーカーや機種によってまちまちです。今回のピアノの鍵盤割りに採寸して、ソレノイドケース(ソレノイド自体の位置を決めている所)を作り直します。





 
鋼材屋さんに鉄板をオーダーして、曲げ加工と切断してもらった物に採寸どおりに穴あけしていきます。
  左右の長い所をディスクサンダーでカットします。
 
新たに作ったソレノイドケース(鉄板)にサビ止めの塗料を塗りました。





ピアノ本体の棚板をトリマー(電動工具)とノミで掘っているところで、この部分にソレノイドケースが収まります。
新たに作ったケース(銀色の方)にこれからソレノイド、基板、配線を移植します。
 移植した(差替えた)ところで、この後カバー(銀色の)を上から取付けします。




できあがったソレノイドケースを仮付けして問題がないかチェックしています。白と黒のボッチ(ゴム製)の部分がモグラ叩きゲームのように、上下運動します。白い方が5mmのストロークで黒い方は6mmです。白鍵の先端を10mm下げた(押した)時に奥側で5mmと6mm上がる所の真下にソレノイドが当たるようにソレノイドケースの位置決めをしています。
こちらはサイレントのセンサーで、鍵盤の上下するスピードとタイミングを読み取っている部分です。ここはどのピアノでも同じサイズなので特に加工の必要のないところです。
こちらはハンマーストップバー(ハンマーとダンパーの間にある鉄のバー)を今回のピアノ用に曲げて(S字のような所)取付けしたところです。長さもつじつまを合わせます。
 タップでネジ穴を新設します。


 ストップバーが取付き、作動チェックしています。


 ペダル天秤の加工です。
 製作や加工などは終わり、後は整調作業です。人間と違い、機械はピアノに合わせて弾いてはくれないため、かえってシビアな整調作業が求められる部分もあります。機械に弾かせてみて、弾きやすそうにします。